【書評】アイデンティティってなんだろう?「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー。」

少し前に、国際結婚したママたちの間で話題になった本がある。

ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルー。

著者は、ブレイディみかこさんという方で、高校を卒業後渡英を繰り返し、アイルランド人の旦那様と結婚後英国のブラントンに住んでいる。中学生になる息子は、英国育ちで日本語を話さない。思春期を迎えた息子と、みかこさんと、旦那さまと、日本と英国。著者の身近な生活と子供たちの言葉から、思わず「アイデンティティってなんだろう」「何をもってよしとするのか」などと考えさせられる本。

時代にとても合った本なのできっとどんな人にも響くけど、やっぱりみかこさんと同じように国際結婚した人や、ハーフの子供を持つ人、もしくは自分が複数のアイデンティティを持っている方により沁みるんじゃないかと思う。

公式サイトでは4章分無料公開されているので、試し読みもできます。

こどもの発言にハッとさせられる

ブレイディみかこさんの息子くんの発言が、12歳とは思えないほど思慮深くて、とにかくハッとさせられる。

無知な人には知らせなきゃいけないことがある

息子くんに対して「春巻き声」「目が小さい」などアジア人の外見に対して明らかに差別的な発言をしていた同級生を、とあることから助けてあげた息子くん。その同級生と最終的には仲良くなるのだが、その過程で話す息子くんの発言が超大人。いや、大人以上にオトナ。

「無知な人には、知らせなきゃいけないことがたくさんあるからね」(助けてあげたあと、その同級生から電話番号を聞かれ、教えた息子くんに対して彼のパパ(みかこさんの旦那)が「おいおい、まさか教えたのかよ?」と言った言葉に対して)

 

「ダニエル(いじめっこ同級生)と僕は、最大のエネミー(敵)になるか、親友になるかのどちらかだと思う。得意なことが似ているからね」

誰かの靴を履いてみること

英国には「ライフ・スキル教育」という教科があり、エモーショナル・インテリジェンス(最近よく聞くEQ=感情的知能)やコミュニケーショ、自己コントロール力とかいうようなものを学ぶらしい。筆記試験もあるとか。

そこで「エンパシーとは何か」と出た筆記試験に対して息子くんが書いたのが「自分で誰かの靴を履いてみること」鳥肌立つくらい素晴らしい回答。

ちなみに、「自分で誰かの靴を履いてみること」というのは英語の定型表現で、他人の立場に立ってみるという意味です。

英国の福祉が覗ける

ぼくはイエローで、ホワイトで、ちょっとブルーを読むことで、英国(イギリス)のリアルな生活・福祉が覗けるのがおもしろい。

英国では、効率でも保護者が子どもを通わせる小・中学校を選ぶことができる。Ofsted(英国教育水準局)という学校監査機関から定期監査報告書や全国学力検査の結果、生徒数と教員数の比率などなど公開されることが義務付けられているので、

これに基づいたランキングが大手メディアから発表されるらしい。で、定員を超えた場合近くに居住する人が優先的に入れる仕組みになっているので、いい学校の近くの住宅価値は高騰すると。

ちなみにこれ、台湾と全く同じ公立の教育システム。

日本はどうだったかな。公立学校は確かその近くの地区からしか、選べなかったと思う。

差別はなくならない。だけど、無知は減らせる

これだけ欧米でアジア人差別を受けてきて、日々マイノリティや人種差別について考える状況がある著者ですら、「ニーハオ」って声をかけられたらブチ切れて「わたしは日本人です!!」と言ってしまうのだから(心のどこかで、中国人と思われたくない、と思っているからこういう発言になるでんでしょう。気持ちは分かります)どんな人にも差別意識はあって、きっと差別はなくならない。

だけど、差別はどこから起こるか、それは「無知」からだと思う。

よく分からないから気味が悪くて、自分と違うことが心地悪いからできれば排除したい。差別はなくならないけど、きっと「無知」は減らせるし、社会はこれからどんどん「多様化」する。

さんざん手垢のついた言葉かもしれないが、未来は彼ら(息子世代の子供たちを指す)の手の中にある。

国際結婚や海外移住、ハーフのアイデンティティを持つ子供の教育や育ち方に興味のある方はもちろん、日本で暮らす日本人にもぜひとも読んで欲しい。

 

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