ノンフィクション作家・探検家の角幡唯介作品を読んでみた

世界を知る

兼ねてから、ノンフィクション作家の高野秀行さんの書籍のほとんどを読み、

ネット上で見ることしかできないオンラインイベントの1つひとつに2000円の代金を払って高野さんの最新情報をおっかけている私。

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彼の作品で読みたい本は、もう全部読んでしまった。また好きな作家さんを見つけたい…気軽に世界中を旅できないコロナ禍の今だからこそ、本の中で世界を旅したい…自分と全く違う世界が見たい…。

そう思ってまた高野さんの動画を漁っていると、『角幡唯介』さんと対談しているラジオを見つけた。

なんと『角幡唯介』さん、早稲田大学探検部出身らしい。高野さんよりも10歳ほど年下なので面識はなかったというが、早稲田大学探検部のノンフィクション作家が書いた作品…読みたい…!

ということで代表的な本を何冊か読んでみたのだが、めちゃくちゃ面白い…!というか、私は高野さん経由で角幡さんを知ったのだが、最初に書いた作品が初っ端からノンフィクション大賞を受賞するなど、遅咲きの高野さんとは違ってものすごく有名な作家だったのだ(失礼)。

角幡唯介さんプロフィール

1976年、北海道生まれで現鎌倉在住のノンフィクション作家・探検家。

早稲田大学を卒業後、朝日新聞社で5年ほど働いたのち、探検のために退社。退社後に初めて書いた作品「空白の五マイル」がいきなりノンフィクション大賞を受賞。

以降は探検を続けながらノンフィクション作家として活躍している。

早稲田卒で朝日新聞者出身…?しかも最初の作品がいきなりノンフィクション大賞…?しかも写真をみると鍛えられた肉体と整った顔立ち。なんだ、エリートか?

と一瞬思ったのですが、彼の文章を読んでみると明らかに早稲田探検部の人らしい、変態さが現れてて…とにかく文章が面白いのです。エリートには違いないんだけど…なんだこの人は?と引き込まれてしまった。

角幡唯介さんの作品の特徴

高野さんの作品は、世界中の辺境の『人々の生活』や『言語・民族』にフォーカスしながら実際に体験したことを面白おかしく書いてくれるので、読者にとっては遠い遠い国の全く自分とは関係ない世界を身近に感じることができ、世界の広さを『人』を通して知ることが出来る。

角幡さんの作品は、同じく世界中の辺境を旅しているのだけど『北極圏』や『山』など『自然』の壮大さに重きを置いて、実際に体験したこと、歴史上の探検家がやってきた探検のミステリーを重ねて物語風に表現している。

『地図のない辺境の地の探検』などというどう考えても普通の人には興味のないものを、これだけ面白くかける、惹きつけられる文章がかけるのが天才的だ。

私自身、恵まれていることに、電気も何もない不自由な場所で明日の食べ物に困る生活をしたことはないし、地図なき道を開拓した昔の探検家に想いを馳せたことなどただの一度もない。

でも、角幡さんの作品を読むと、自然の美しさや恐ろしさが、映像や鮮やかな写真をみたわけでもないのに感じられ、同じ体験をしてみたいとさえ思ってしまうのだ。ああ不思議。

読了した作品と感想

角幡さんが書いた作品は、彼自身の探検に基づいたものが多いので、作品の数自体は多くはない。

命懸けの探検には大変長い年月と費用がかかるとと思われるので、当然だ。

角幡唯介さんの作品のなかで私が読了したのは、まだ4冊のみ。

近所の図書館に角幡唯介さん作品一覧があったので、事前知識なくなんとなく目に留まったものを借りてみたのだが、一冊目に『角幡唯介さんの作品の中で一番完成度が高く、評価も高い』と言われている『アグルーカの行方』を読んでしまった。

『アグルーカの行方』の面白さよ…!

英国を出発したフランクリン隊が北極探検中にその姿を消し、すでに探検が盛んで環境も今ほどではないにしろ整っていたと思われる19世紀に129名全員死亡というとんでもない惨事となった事件を、当時のルートを辿りながら自身で体験し、考え、自分なりの答えを導き出していくというノンフィクション作品。

作品の完成度の高さと、後半からの展開は「ノンフィクション」とは思えないほど引き込まれる。

このあとに読んだ『極夜行』も確かにものすごく面白かったのだけど、やはり『アグルーカの行方』には勝てなくて、一旦角幡唯介さんのほかの探検作品を読むのをやめてしまった。

あとは初めて書いたと言われているエッセイもの『探検家、36歳の憂鬱』も読んでみた。

これは独身時代に書かれたもので、結婚したいとか子供が欲しいとかごく一般的な世間体を気にしている等身大の30代の男性の姿が描かれていたので、「え?角幡さんてこんな破天荒なことしてるのにそんな世間体なんて気にしているの?」と思えて面白かった。

ちなみに角幡さんはすでに結婚されて、娘さんが一人いらっしゃるそうで、彼と娘さんの話を中心に書かれたエッセイ『探検家とペネロペちゃん』の評判がすごく良いらしく、こちらも読んでみたい。

あと、『探検家、36歳の憂鬱』の続きと思われる『探検家、40歳の事情』も。

 

 

そして高野秀之+角幡唯介ファンなら絶対に読みたいのが、二人の対談をまとめた「地図のない場所で眠りたい」だ。

早稲田探検部出身のふたりだが在籍中に面識はない。それでも、探検部特有の変態さを持つ二人…というかは高野さんはやっていることは変わっているのに、適応能力というか協調力がありすぎて、中身は意外と普通な人なので、この対談では角幡さんの変態さが際立っている。

しかし作品において角幡さんは、普通の人が興味のない物語にいかに興味を持たせるかを、作品だけでなくタイトルにまでしっかり考えているような気がする。タイトルがとにかく、惹きつけられるし、読み手のことをとても意識している。

とにもかくにも、『アグルーカの行方』面白いのでおすすめします。

 

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